斬月愛のギャラリー
未読猫様ありがとうございます!
【斬月夢小話】
※沙美の所はお好きな名前に入れ替えて下さい。
「あれ?」
「沙美?」
斬月と沙美がお互い不思議そうに見詰め合う。
「ここ……一護くんが言ってた……斬月さん家?」
「あぁすまなかった。
慌ててこちらの世界に戻ったせいで、お前まで連れてきてしまったようだ。」
斬月が少し赤くなった目を周りの景色に向ける。
沙美の鼻がくしゅと小さな音をたてた。
「ここには花粉は無いからな。
好きなだけ居るといい。」
あちらの世界は花粉だらけで死ぬかと思ったと、斬月がぼそっと呟く。
その言葉に沙美がうんうん頷き、ポケットからハンカチを取り出し、斬月に渡す。
自分は、カバンの中からネ●アを箱ごと取り出して鼻をかんだ。
「最近全然姿を見せないって、一護くん言ってたけど…斬月さんも花粉症だったんだねー。」
「あぁ、この世界に雨が降るのはたまらなく嫌だったのだが…一護のおかげで、この季節の雨が潤いだという事を初めて知った。
たまには雨というのも良いものだな……。」
カッコ良く佇み、今居る自分の世界を見回し、呟く言葉は落ち着いた声に彩られる。
一見素敵状態の斬月だが、言ってる内容へっぽこ。 単なる花粉症のおやじであった。
もらったハンカチで潤んだ目に浮かぶ涙を拭うおっさんと、今だぐしゅぐしゅ言っている鼻をティッシュで押さえている女子高生は、花粉の無い世界を堪能していた。